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アブスコパル効果と免疫力 2020年10月28日

がん病巣に放射線を当てることにより、がん細胞が死滅したり脆弱化して、免疫刺激作用のある物質を放出する。それを樹状細胞が処理してその情報を伝えることにより、Tリンパ球(なかでも腫瘍特異的Tリンパ球)が活性化される。活性化されたTリンパ球は体中をめぐって、放射線を照射した以外の部位のがん細胞を見つけて攻撃していく。これをアブスコパル効果という(腺友倶楽部第5号2020.2、30頁参照)。 放射線治療といえば局所治療だけと思っていたが、意外にも全身に効果がある場合もあるわけである。免疫チェックポイント阻害薬と併用も考えられているらしい。 私の場合、もし転移している骨の1箇所あるいは数箇所に放射線を当てれば、リンパ球が活性化されて、身体の隅々に残っているがん細胞も消してくれる、という期待が持てる。 ただ、私はいま多発性骨転移なので、放射線治療ができない。自分が本来的に持っている免疫細胞しか、頼りになるものがいない、ということである。

リコピンは再発、再燃がんにも効く 2020年10月27日

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リコピンと言う人もあり、リコペンと言う人もある。Lycopeneをローマ字読みすればリコペンだが、英語圏の人の発音を聞くと「ライカピン」と聞こえる。ここではリコピンと言うことにする。 最近よくアクセスするプラス免疫編集部のサイト「 免疫療法のすべて 」の「がんに効く食べ物とは?」に「 トマト 」の項があり、そこを読むとトマトと前立腺がんとの関係を調査した結果が載っている。 米デトロイトのカルマノス・ガン研究所内科・腫瘍学科のオマール・クチューク教授が2004年11月26日、都内で開催されたセミナー「リコピンと21世紀の健康」(主催:イスラエルのライコレッド社)で、研究結果を公表した。 研究結果を解説した文献(日経メディカル)に当たってみた。 https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/346920.html 「前立腺癌の 再発患者 70人を2群に分け、一方(37人)に1日にリコピン15mgを主成分とするサプリメントを、もう一方(33人)は同じリコピン15mgを含むサプリメントと大豆イソフラボン40mgを6カ月間投与した。 リコピン主体のサプリメントをのんだ群は、前立腺癌の指標となるPSA(前立腺特異抗原)値の上昇が有意(P=0.003)に抑えられていた。大豆イソフラボン併用群でもPSA値の上昇抑制傾向が見られたが、有意ではなかった(P=0.25)。 70人のうち、内分泌療法が無効となったホルモン耐性前立腺癌の25人で結果を分析しても結果は同様だった。リコピンを主体にしたサプリメント投与群は、PSA値の上昇を有意に抑えた(P=0.025)。『 内分泌療法が使えない患者(再燃がん)にもリコピンはプラスに働く 』(クチューク教授)ようだ。」 つぎに、 前立腺がん診療ガイドライン (2016年版)の「大豆,緑茶,トマト等に含まれる機能因子は前立腺癌の予防に関与するか?」(p.30)のリコピンに関連した部分をコピペする。 「4.リコペン リコペンはトマトに最も多く含まれる赤い色素で,抗酸化作用が強いとされている。トマトソースを週に2回以上摂取した群では前立腺癌の発症が有意に抑えられていたのに対し,野菜のトマトでは差がなかった 。2004 年のメタアナリシスでは,トマトの消費と前立腺癌のリスクには少ないながらも...

大豆食品+腸内細菌 2020年10月26日

日本人の前立腺がんの罹患率が最近上がっている。国立がん研究センターの調査では前立腺がんの罹患数は胃がんを抜いて1位、女性では乳がんが1位となった(2017年の統計)。これは日本だけでなく、タイ、韓国、シンガポールあるいは香港といったアジアの国々でも同じような傾向だそうだ。 人種別では,前立腺がんの生涯罹患率はアジア人で 13 人に1人、白人で8人に1人、黒人で4人に1人と推定されている(前立腺がん診療ガイドライン2016年版)。日本人がアメリカに移民して20年生活すると、その前立腺がんの罹患率は急激に上がってくる、という話もある。 これから述べる情報は主に、東京大学先端科学技術研究センター 赤座英之著「アジアの特性を生かした前立腺がん化学予防」から得ている。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/seisankenkyu/62/5/62_5_543/_pdf 同文献によると、欧米人は大豆を栽培するもののそれを家畜の餌にしているが、アジアの人々は味噌、豆腐、納豆などの大豆食品にして毎日食べている。大豆食品は「植物性エストロゲン」と云われる「イソフラボン」を含んでいる。 アジアの人々はこのイソフラボンの一種であるダイゼインを、イソフラボンの別の一種である「エクオール(エコールともいう)」に変えることができる腸内細菌(エクオール産生菌)を持っている。しかし欧米人はその腸内細菌を持っていないらしい。 エクオールは、ジヒドロテストステロン(DHT)の活性を弱め、DHTが前立腺がんのアンドロゲン受容体に結合するのを邪魔する働きをする。まさに天然の「抗アンドロゲン剤」といえる。大豆食品はこのような効果があるため、アジア人の前立腺がんの罹患率が低いのもうなずける。 ただ、血中濃度を測ってみると、現代の日本人は、エクオールの出ている人は半分もいないらしい。つまりエクオールを作れるエクオール産生菌を持っていても、それが機能している人は半分もいない。腸内細菌叢のバランスが悪く善玉菌が少ないと、エクオール産生菌のパワーも弱くなるそうだ。若い人のエクオールの出ている割合はもっと下がって、欧米人並み(欧米人では10%ほど)になっているらしい。いまの若い人は、豆腐、納豆、味噌汁などの大豆食品を好まなくなっていて、その結果として腸内細菌叢の多様性が減っているから...

がんの再発・再燃を防いでくれる腸内細菌

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人の免疫細胞の6〜7割は腸に居て、これらの免疫細胞は、腸内の乳酸菌などの善玉菌の助けを借りて、口を通して体内に侵入してくる病原細菌を攻撃し、身体を守ってくれる。 腸に居る免疫細胞が口から体内に侵入してくる病原細菌をやっつけてくれるのは非常にありがたいが、それとともに、 臓器に居る(腸内とは限らない)がん細胞をやっつけてくれる免疫細胞を育てたい のである。どうすれば、がんに対抗できる免疫細胞を育てられるか。「運動すること」、「笑うこと」が大事、と書いてある本やサイトはよく見かけるが、それ以上の情報を探していた。 偶然「腸内細菌ががん免疫療法の効果に影響」という記事を見つけた。 https://www.akiramenai-gan.com/immunotherapy/86852/ 昭和大学医学部の先生が語っていて、その中に「 ある研究では、泌尿器がん手術後に患者さんの便に含まれる腸内細菌を調べ、その後いつ・どの患者さんが再発したかを調査しました。すると、早く再発した患者さんは腸内細菌の種類が少なかったのです。ここでも、腸内細菌の多様性が重要であることが示されました。 」という記述があった。 「 これはすごい! 」と思った。腸内細菌と前立腺がんとは、関係があるもあるも、大ありだ。 それはそれとして、私は 腸内に居る細菌を多様にして育てる 工夫を、これから本格的にしてみようと思う。 (1)プロバイオテックス 腸内細菌を含む食品をプロバイオテックスと云う。主に小腸に居る乳酸菌を対象にしている。ヨーグルト、チーズ、乳酸菌飲料、納豆、味噌、ぬか漬け、キムチなどがある。納豆、味噌汁はよく食べているが、チーズなどの乳製品由来の食品は、ホルモンの関係で控えている(2020年 8月29日の日記 に書いた)。 その足りない分をサプリメントで摂ることにした。最近私の採り始めたプロバイオテックス・サプリがこれ↓ California Gold Nutrition “Lacto Bif” (乳酸菌やビフィズス菌が8種類が入っている) ただし、ずっと同じサプリを摂るのではなく、何ヶ月かおきに別の種類の菌の入っているサプリに変更して、ローテーションするのがよいそうだ。これは栄養チャンネル信長【 「乳酸菌」入門編 】を参考にした。 (2)プレバイオテックス 腸内細菌の餌になる成分を含む食品をプレバイオ...

オメガ6不飽和脂肪酸--癌との危険な関係 2020年10月16日

臓器に炎症が起こってそれが長く続くと、炎症で発生した活性酸素がまわりの細胞の遺伝子を傷つけ発がんに至る。たとえば胃の中にピロリ菌が住み着いていると胃炎を起こし、それが胃がんに進行する。肝臓に肝炎ウィルスが居続けると遂には肝臓がんになる。 この炎症を起こす要因の一つとして、オメガ6不飽和脂肪酸の摂りすぎがある。特に現代の日本人は、魚を食べることが少なくなって、その反面、お手軽な弁当、カップ麺などのインスタント食品、フライもの、冷凍食品、マーガリンやショートニングを使った菓子、パン、ケーキ、スナック類(ポテトチップス、フライドポテト、ドーナツ、揚げ煎餅)などを摂りすぎていて、ひと昔まえと比べて、炎症を亢進するオメガ6不飽和脂肪酸の摂取量が圧倒的に増え、炎症を抑えるオメガ3不飽和脂肪酸が減っている。 オメガ6不飽和脂肪酸と前立腺がんとの関係について、データがあるかどうか調べようと国立がん研究センターのコホート研究をあたってみたが、飽和脂肪酸と前立腺がん発生率との関連を調べた結果はあっても、オメガ6不飽和脂肪酸との関係は探せなかった。しかし乳がんについては「魚、n-3及びn-6不飽和脂肪酸摂取量と乳がんとの関連について」という研究 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3686.html があって、「n-6不飽和脂肪酸の摂取量が多いほど、ホルモン依存性(ホルモン受容体陽性)の乳がんリスクが高くなりやすい」という結果が出ていた。前立腺がんもホルモン依存性なのでこれとよく似た結果になると思う。 前立腺がんでは、マウスで実験した結果がみつかった。“Effect of Altering Dietary ω-6/ω-3 Fatty Acid Ratios on Prostate Cancer Membrane Composition, Cyclooxygenase-2, and Prostaglandin E2”(前立腺癌細胞の細胞膜の構成、シクロオキシゲナーゼ-2、プロスタグランジンE2に対する食事中のオメガ6/オメガ3脂肪酸の比の影響) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3410648/ ホルモン感受性の前立腺癌細胞を移植したマウスに、食餌中の脂肪の全てがオメガ6の不飽和脂肪酸の食餌を与えたグ...

タンパク質の摂り方--ホエイプロテインなど 2019年10月01日

私の前立腺がんは、GS9で多発性骨転移あり、すぐに去勢抵抗性になるのではないかと内心ビクついていたが、ホルモン療法がよく効くがんだったのか、PSA値は素直に0.008まで低下してくれた。いまのザイティガとリュープリンによるCAB療法をまだまだ続けていかなければならないが、薬を飲むことの他に、自分でできる大事なことは、食事療法と風呂であって、これらもPSA値の低下に一役買ってくれていると信じている。これからもずっと続けて行くつもりである。 今日はタンパク質の摂り方について。 2020年5月17日の日記 に「蛋白質は魚が主体である。肉は全部国産肉を買う。柏の胸肉が一番多い。豚肉、牛肉は脂身の少ないところを週1~2回食べるくらいである。」と書いた。 タンパク質を摂るには、豚肉や牛肉を食べるのが簡単だが、同時に がんが好む動物性脂肪(飽和脂肪酸)の摂取が避けられない 。そこでいままで、豚肉や牛肉の摂取量はなるべく少なくして、主として大豆からの植物性タンパク質を摂り、動物性タンパク質は脂肪の少ない鶏の胸肉から摂っていた。豚肉、牛肉は脂身を落として週1~2回食べるくらいにしていた。 古川健司著「ケトン食ががんを消す」の126~127ページあたりに、植物性タンパク質はアミノ酸バランスの良くないものがあるので、「日常の食事においても、植物性タンパクで不足している一部の必須アミノ酸を得るために、大豆製品などの植物性タンパク質の摂取を第一選択として、動物性タンパクも定期的に摂ったほうがいいのです」と書かれている。 「ケトン食ががんを消す」の126ページにも「タンパク質、なかでも動物性タンパク質には、がんによって抑制がかかった免疫システムを活性化したり、貧血を誘発する低酸素状態を改善する働きがあるからです」と書かれている。 このように免疫システムを活性化でき、貧血も改善できるのであれば、私も積極的に動物性タンパク質を摂ろうと思う。しかし卵一日3~5個というのは、ちょっと・・・ 佐藤のりひろ医師の「がん死亡リスクが50%も減るタンパク質の摂取量とは?最新の研究結果より」 https://www.youtube.com/watch?v=PyV3Jxp4dmY という記事が出た。植物性タンパク質を中心にして一日80gから90gのタンパク質をとると良いと書かれている。結構な量である。 また、吉富...

PSAはとうとう0.008に低下 2020年09月28日

今日は診断日で、PSA値は0.008に低下していた♪ 前回が0.009だったので、少しだけ低下。測定感度の限界値が0.008だそうで、私の今日の測定値は測定限界値ちょうどであるらしい。PSAがほんとうにもっと低い値の場合、たとえば0.006である場合でも「0.008」と出るそうである。 骨の代謝を示すALPの数値は232で、自分としては平均的な値。この前(8月4日)ALPが335に跳ね上がったのは何だったのか、いまだにわからない。 赤血球数、ヘモグロビン量は相変わらずL。この数ヶ月、低いところで安定している。筋力も落ちていて、元気よくジョギングができない。 糖質制限との関係では、空腹時血糖値が104であり、まだ100を切ることができない。中性脂肪は158と相変わらず高値安定(もっと下がってほしい)、HDLは53と低値安定(もっと上がってほしい)。 この白庭病院で、血中の「ケトン体濃度」を定期測定項目の中に入れてもらえばありがたいと思い、それとなく持ちかけてみた。 「○○さんは、ケトン体を測らなあかんような状態と違いますよ。そんな人は、病院のなかを歩くこともできん人です」 と言われたので、これ以上押さなかった。先生は糖尿病患者のケトアシドーシスを想定しておられる。昔からあるケトン体の悪いイメージ。いまは高脂質、高蛋白質食を食べてケトン体を出し、がんを治す時代になっているように思うのだが・・・

クエン酸はがんに効く? 2020年09月27日

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吉富信長氏の動画に「クエン酸とがん」という動画がある。 https://www.youtube.com/watch?v=Ieupgqvi-8Y&t=3s がん細胞は糖質を取り込み、「ブドウ糖→ピルビン酸→乳酸」という経路(解糖系)でエネルギーを作るが、クエン酸を摂取すると、それががん細胞の中に入り込み、ピルビン酸→乳酸の代謝を阻害してくれるらしい。 がん治療のためには、大量のクエン酸を摂取する必要があり、素人では太刀打ちできず、医師、管理栄養士などと相談しながらやらないといけない。 しかし、がん予防レベルの話であれば、普段からクエン酸を多く含む食品を食べるのがよさそうだ。たとえば、梅干を食べる、レモン、柚、カボスなどの柑橘類を食べる、柑橘類の生果汁を飲む、などである。胃酸の酸度アップになり、食欲増進というメリットもある。 私は、酸っぱいものが割と好きなので、シークヮーサの果汁(ストレート果汁100%のもの)を湯、冷水または炭酸水に少し混ぜて飲んでいる。 それだけでは物足りないので、クエン酸パウダーを少し混ぜる。クエン酸パウダーはサプリメントとしても売っている。このやり方で、ひと夏、クエン酸を摂取してみたが、胃腸の調子もよく、なによりも暑い日に冷たくて酸っぱい水を飲むのは爽快。続けよう。

ホルモン治療をやるとCRPC(再燃)は避けられないのか? 2020年09月23日 

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私は病気発覚後、ホルモン感受性のうちからアビラテロン(ザイティガ)を飲み始めて、いま9ヶ月になる。これからも暫くはこの薬を飲み続けていくことになろう。 (用語解説)転移のあるホルモン感受性前立腺癌(mHSPC);転移のない去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC);転移のある去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC) 世の中では、ホルモン療法をやっている人はいずれ去勢抵抗性(CRPC)になり(再燃し)、抗がん剤のお世話になるに違いないと、まことしやかに噂されている。ほんとうにホルモン療法をやると必ず再燃するのか、再燃を免れる場合はないのか❓ そこで、再燃率を調査した結果がないかと、インターネットで調べてみると、次のサイトが出てきた。 https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa1704174 LATITUDE試験:「ハイリスクの転移性前立腺がんと初めて診断された前立腺がん患者に対する一次療法として、アンドロゲン除去療法(ADT)にザイティガ+プレドニゾロン(商品名プレドニン)を併用投与した第3相無作為化比較試験(LATITUDE)」 これは、ホルモン感受性前立腺がん転移例(mHSPC)の高リスク例(Gleason score 8以上、3カ所以上の骨転移、測定可能な内臓転移病変のうち2つ以上の条件を満たす。私もこれに該当している)に対するアビラテロンの初期投与の有効性を調べるため、日本を含む世界的規模で行われたランダム化比較試験である。日本の行政当局はこの試験の結果に基づいて、ホルモン感受性前立腺がんに対して、試験と同じ条件でのアビラテロンの一次使用を承認している。 試験にあたっては、2013年2月12日から2014年12月11日に1199例が登録され、本解析のデータカットオフ日は2016年10月31日、追跡期間中央値は30.4カ月であった。1199例のうち、597例がADT+ザイティガ+プレドニゾン併用群、602例がADT単独群(プラセボ群)に割り付けられた。 ここで、試験に出てくるアンドロゲン除去療法(ADT)とは、リュープリン、ゾラデックス、ゴナックスなどの注射または除睾術のことである。日本では、これにビカルタミドまたはフルタミドと併用するCAB療法が一般的だが、欧米では、注射または除睾術の単独療法が一般的に行われているようである。 結...

ゲルソン療法(玄米菜食主義)は進行性癌には歯が立たない 2020年09月01日

インターネットで、内分泌(ホルモン)療法をして前立腺がんが治った方の記事を読むと、多くの方が、ゲルソン療法という食事療法をしておられる。例えばゲルソン療法を実施して前立腺がんが劇的に治った人として渡邉勇四郎医師がおられ、本も出している(「ゲルソン療法でがんを消した人に再発はない」ATパブリケーション)。ほかに 癌克人さん 、 時遊旅さん がおられる。 星野医師がゲルソン療法を日本人向けに改良した星野式ゲルソン療法もある。それをさらに改良した済陽高穂医師の済陽式というのもある。 しかし最近になって、ゲルソン療法に批判的な医師、栄養士が出てこられた。例えば荒木裕医師、福田一典医師、古川健司医師・・・。 ここで古川健司著「ケトン食ががんを消す」(光文社)を参照すると、ゲルソン療法の問題点が浮き彫りにされている(同著の112頁から129頁)。つまりゲルソン療法は再発や予防を目的としては確かに有効だが、すでにがんが進行している場合、正常細胞だけでなくがん細胞も元気にする要因が入っているというのである。例えばゲルソン療法が勧めている玄米は、GI値はやや低いものの、白米と比べて糖質の含有量に大差ない。果物・野菜ジュースを大量に飲むことが勧められているが、ビタミンやミネラルの補給にはよいかもしれないが、糖質の摂取過多になること、など。 私も古川医師にまったく同感で、ゲルソン療法をすると「糖質過剰摂取」、「高炭水化物食」になるというのが一番の問題であると思う。例えば人参ジュースを毎日1.5L飲むと、人参が毎日1kg必要であり、これだけで65gの糖質になる。2019年 12月14日 の日記に書いたように、一時、玄米や全粒粉麺を摂り入れたことがあるが、排尿感が悪化してきたため中止した経験がある。もしあのまま、ゲルソン療法を信じて玄米食を続けていたら、いまのPSAの低値はなかったかもしれない。 では、ホルモン療法をして前立腺がんが治った方々は、なぜ、ゲルソン療法を採用したのか? 私なりに推測すると、インターネットでいま有名になっているこれらの方々の発病時期は、いまから10年以上前であり、そのころのがんの食事療法はゲルソン療法しか知られていなかったから。 ゲルソン療法で成功した人ばかりインターネットでもてはやされているが、 三谷文夫さん のようにゲルソン療法を忠実にやって、最初持ちこたえたが...

アンドロゲン受容体バリアントAR−V7 2020年08月31日

ホルモン治療をやっていると、前立腺がんは、最初、ビカルタミドなどの古典的な抗アンドロゲン・ホルモン薬に感受性を示すが、続けていくうちに効かなくなると云われている(最後までビカルタミドが効いた人もいる)。そこで、新規治療薬として、引き続き、または条件によっては私のように始めから、エンザルタミドまたはアビラテロンを投与するが、新規治療薬もまた効かなくなると云われている(ずっと効き続ける人は当然いると思うが、そういう人はインターネットを検索しても、いまのところ見つからない)。 このように、ホルモン治療薬に抵抗性を示す前立腺がんを去勢抵抗性前立腺癌(castration-resistant prostate cancer;CRPC )と云う。細胞レベルで見たCRPCの特徴とはなにか? 自分なりに調べてみた。 前立腺がん細胞はアンドロゲン(男性ホルモン)が結合する部位をもっており、これをアンドロゲン受容体(androgen receptor: AR)という。ARにアンドロゲンが結合すると、その結合体が核内へ移行しDNAに作用することで、がん細胞の増殖がおこる。上にあげたようなホルモン治療薬は、アンドロゲンがARに結合するのを阻害することで、前立腺がん細胞の増殖を防止するわけである。 ところが最近、アンドロゲンが結合するはずの部位が欠損した、ARスプライシングバリアント(ARの一部が欠損した変異体)が存在することがわかってきた。ARスプライシングバリアントにはいくつかの種類があるが、その中でも最も治療耐性を示すAR−V7というやつが注目されている。AR−V7が出現した前立腺がん細胞は、アンドロゲンの存在の有無に関わらずARが恒常的に活性化されている。したがって、ホルモン薬剤耐性を示し、去勢環境下においてもがん細胞は増殖する。ただ、ドセタキセルなどの化学物質抗がん剤はそれなりに効くようである。 AR−V7はエンザルタミドやアビラテロンをいくら投与しても効かないので、まさにCRPCの王様である。こいつに取り憑かれたら非常にやばいことになる。

牛乳や乳製品は大丈夫?--インスリン様成長因子 2020年08月29日

インスリン様成長因子−1(IGF−1)というホルモンがある。インスリンに非常に良く似た構造を持ち、細胞増殖・分化の誘導、細胞死の抑制を促進する因子で、肝臓から分泌される。また、インスリンがIGF−1の産生を増加させることも知られている。IGF−1は外からも摂ることもでき、牛乳や乳製品(チーズ、生クリーム、バター、ヨーグルト)などに多く含まれる。 生殖系の細胞、例えば乳腺細胞や前立腺細胞は、IGF−1受容体を多く持っており、IGF−1を取り入れて、母乳を分泌したり精液を分泌したりする。 生殖年齢を過ぎた人、つまり老境に差しかかった男性がこのホルモンを多く摂ると、非常にまずいことになることが想像つく。すなわち、IGF−1は、もう成長する必要のない前立腺細胞においてがんの発生を促してしまうのである。 前立腺がん細胞がIGF−1を取り込む作用を説明すると、IGF−1はがん細胞の細胞膜にあるIGF−1受容体に結合する。IGF−1受容体は細胞内のインスリン受容体基質IRSに結合し、インスリン受容体基質IRSを通してがん細胞の増殖、浸潤、転移を促す信号をがん細胞のDNAに伝える。このあたりアンドロゲン受容体の働きとそっくりだ。 乳製品、牛乳、チーズ、ヨーグルトの摂取量と前立腺がんリスクとの関係を調べた国立がん研究センターの多目的コホート研究がネットに載っていたので、紹介する。 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/317.html 「平成7年(1995年)と平成10年(1998年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所(呼称は2008年現在)管内にお住まいだった、45~74歳の男性約4万3千人の方々を平成16年(2004年)まで追跡した調査結果にもとづいて、乳製品、飽和脂肪酸、カルシウム摂取量と前立腺がん発生率との関連を調べました。 乳製品、牛乳、チーズ、ヨーグルトの摂取量によって4つのグループに分けて、最も少ないグループに比べその他のグループで前立腺がんのリスクが何倍になるかを調べました。 その結果、乳製品、牛乳、ヨーグルトの摂取量が最も多いグループの前立腺がんリスクは、最も少ないグループのそれぞれ約1.6倍、1.5倍、1.5倍で、摂取量が増えるほ...