オメガ6不飽和脂肪酸--癌との危険な関係 2020年10月16日

臓器に炎症が起こってそれが長く続くと、炎症で発生した活性酸素がまわりの細胞の遺伝子を傷つけ発がんに至る。たとえば胃の中にピロリ菌が住み着いていると胃炎を起こし、それが胃がんに進行する。肝臓に肝炎ウィルスが居続けると遂には肝臓がんになる。

この炎症を起こす要因の一つとして、オメガ6不飽和脂肪酸の摂りすぎがある。特に現代の日本人は、魚を食べることが少なくなって、その反面、お手軽な弁当、カップ麺などのインスタント食品、フライもの、冷凍食品、マーガリンやショートニングを使った菓子、パン、ケーキ、スナック類(ポテトチップス、フライドポテト、ドーナツ、揚げ煎餅)などを摂りすぎていて、ひと昔まえと比べて、炎症を亢進するオメガ6不飽和脂肪酸の摂取量が圧倒的に増え、炎症を抑えるオメガ3不飽和脂肪酸が減っている。

オメガ6不飽和脂肪酸と前立腺がんとの関係について、データがあるかどうか調べようと国立がん研究センターのコホート研究をあたってみたが、飽和脂肪酸と前立腺がん発生率との関連を調べた結果はあっても、オメガ6不飽和脂肪酸との関係は探せなかった。しかし乳がんについては「魚、n-3及びn-6不飽和脂肪酸摂取量と乳がんとの関連について」という研究

https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3686.html

があって、「n-6不飽和脂肪酸の摂取量が多いほど、ホルモン依存性(ホルモン受容体陽性)の乳がんリスクが高くなりやすい」という結果が出ていた。前立腺がんもホルモン依存性なのでこれとよく似た結果になると思う。

前立腺がんでは、マウスで実験した結果がみつかった。“Effect of Altering Dietary ω-6/ω-3 Fatty Acid Ratios on Prostate Cancer Membrane Composition, Cyclooxygenase-2, and Prostaglandin E2”(前立腺癌細胞の細胞膜の構成、シクロオキシゲナーゼ-2、プロスタグランジンE2に対する食事中のオメガ6/オメガ3脂肪酸の比の影響)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3410648/

ホルモン感受性の前立腺癌細胞を移植したマウスに、食餌中の脂肪の全てがオメガ6の不飽和脂肪酸の食餌を与えたグループ(A群)と、オメガ6とオメガ3の不飽和脂肪酸が等量になる食餌を与えたグループ(B群)で、移植した前立腺癌細胞の増殖速度などを調べている。その結果、オメガ3の不飽和脂肪酸を含む食餌を摂取させたB群のマウスは、オメガ6の不飽和脂肪酸のみのA群のマウスと比べて、前立腺がん細胞の増殖速度が遅くなり、細胞死(アポトーシス)の頻度が高くなるという結果が得られたそうである。これはマウスを使った実験であるが、不飽和脂肪酸のオメガ3/オメガ6比を高めることが前立腺がんに有効であることが示された。

人間の話に戻ると、摂取する不飽和脂肪酸は絶対量でなくオメガ6とオメガ3の比率が問題で、理想は1:1から2:1と云われている。

ここに奥山治美「リノール酸摂りすぎによる炎症性疾患としての癌」という論文がある。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jems/25/2/25_2_147/_pdf

(注)リノール酸は、オメガ6脂肪酸の一種であり、その代表的なもの。

この論文を読んだ上での私の感想であるが、いまの日本人のオメガ6脂肪酸の摂り過ぎは相当やばい段階に来ていると思う。肉を食べだしたとは云え、その摂取量は欧米人に比べてまだまだ少ない。しかしオメガ6脂肪酸に限って言えば、摂取総脂肪の中でリノール酸の占める割合は米国人よりも日本人のほうが高いそうである。(奥山治美「リノール酸摂りすぎによる炎症性疾患としての癌」の152ページ4.臓器間の発がん率の差③参照)。

私は、自分の前立腺がんを制御するために、オメガ6脂肪酸を極力避けて、オメガ3脂肪酸を多く摂取しようと思っている。オメガ3脂肪酸を摂取しすぎると、怪我をすると血が止まらなくなるらしいが、いまの私はまだまだそこまで行っていない。そうなってもよいくらい、オメガ3/オメガ6脂肪酸の比率を高めよう。それには魚料理、亜麻仁油、荏胡麻油、DHA/EPAサプリメントの摂取である。

食材のオメガ6/オメガ3脂肪酸比率を調べるには、「食品成分データベース(文部科学省)」が便利である。

https://fooddb.mext.go.jp/

(すべて100gあたり)

胡桃(くるみ)   オメガ3=8.96g オメガ6=41.32g オメガ6/オメガ3比率=4.6

アーモンド オメガ3=0.01g オメガ6=12.64g オメガ6/オメガ3比率=∞

ピーナッツ オメガ3=0.09g オメガ6=13.5g オメガ6/オメガ3比率=150 

鯵(あじ、生)   オメガ3=1.05g オメガ6=0.13g オメガ6/オメガ3比率=8.1

亜麻仁油    オメガ3=56.63g オメガ6=14.5g オメガ6/オメガ3比率=0.26

荏胡麻油  オメガ3=58.31g オメガ6=12.29g オメガ6/オメガ3比率=0.21

こうしてみると、亜麻仁油、荏胡麻油はオメガ3を豊富に含んでおりその摂取は必須で、胡桃は比較的優秀な食品であることがわかる。

このサイト「がんに効く食べ物」↓は、科学的根拠データを全部明示しており、信頼できそうである。http://www.cancertxplus-meneki.net/food/nuts.html





コメント

このブログの人気の投稿

イクスタンジもゾーフィゴも効いていない! 2023年05月19日 

ジェブタナまた延期 2024年02月08日

病院を紹介される 2019年10月11日