投稿

10月, 2020の投稿を表示しています

アブスコパル効果と免疫力 2020年10月28日

がん病巣に放射線を当てることにより、がん細胞が死滅したり脆弱化して、免疫刺激作用のある物質を放出する。それを樹状細胞が処理してその情報を伝えることにより、Tリンパ球(なかでも腫瘍特異的Tリンパ球)が活性化される。活性化されたTリンパ球は体中をめぐって、放射線を照射した以外の部位のがん細胞を見つけて攻撃していく。これをアブスコパル効果という(腺友倶楽部第5号2020.2、30頁参照)。 放射線治療といえば局所治療だけと思っていたが、意外にも全身に効果がある場合もあるわけである。免疫チェックポイント阻害薬と併用も考えられているらしい。 私の場合、もし転移している骨の1箇所あるいは数箇所に放射線を当てれば、リンパ球が活性化されて、身体の隅々に残っているがん細胞も消してくれる、という期待が持てる。 ただ、私はいま多発性骨転移なので、放射線治療ができない。自分が本来的に持っている免疫細胞しか、頼りになるものがいない、ということである。

リコピンは再発、再燃がんにも効く 2020年10月27日

イメージ
リコピンと言う人もあり、リコペンと言う人もある。Lycopeneをローマ字読みすればリコペンだが、英語圏の人の発音を聞くと「ライカピン」と聞こえる。ここではリコピンと言うことにする。 最近よくアクセスするプラス免疫編集部のサイト「 免疫療法のすべて 」の「がんに効く食べ物とは?」に「 トマト 」の項があり、そこを読むとトマトと前立腺がんとの関係を調査した結果が載っている。 米デトロイトのカルマノス・ガン研究所内科・腫瘍学科のオマール・クチューク教授が2004年11月26日、都内で開催されたセミナー「リコピンと21世紀の健康」(主催:イスラエルのライコレッド社)で、研究結果を公表した。 研究結果を解説した文献(日経メディカル)に当たってみた。 https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/346920.html 「前立腺癌の 再発患者 70人を2群に分け、一方(37人)に1日にリコピン15mgを主成分とするサプリメントを、もう一方(33人)は同じリコピン15mgを含むサプリメントと大豆イソフラボン40mgを6カ月間投与した。 リコピン主体のサプリメントをのんだ群は、前立腺癌の指標となるPSA(前立腺特異抗原)値の上昇が有意(P=0.003)に抑えられていた。大豆イソフラボン併用群でもPSA値の上昇抑制傾向が見られたが、有意ではなかった(P=0.25)。 70人のうち、内分泌療法が無効となったホルモン耐性前立腺癌の25人で結果を分析しても結果は同様だった。リコピンを主体にしたサプリメント投与群は、PSA値の上昇を有意に抑えた(P=0.025)。『 内分泌療法が使えない患者(再燃がん)にもリコピンはプラスに働く 』(クチューク教授)ようだ。」 つぎに、 前立腺がん診療ガイドライン (2016年版)の「大豆,緑茶,トマト等に含まれる機能因子は前立腺癌の予防に関与するか?」(p.30)のリコピンに関連した部分をコピペする。 「4.リコペン リコペンはトマトに最も多く含まれる赤い色素で,抗酸化作用が強いとされている。トマトソースを週に2回以上摂取した群では前立腺癌の発症が有意に抑えられていたのに対し,野菜のトマトでは差がなかった 。2004 年のメタアナリシスでは,トマトの消費と前立腺癌のリスクには少ないながらも

大豆食品+腸内細菌 2020年10月26日

日本人の前立腺がんの罹患率が最近上がっている。国立がん研究センターの調査では前立腺がんの罹患数は胃がんを抜いて1位、女性では乳がんが1位となった(2017年の統計)。これは日本だけでなく、タイ、韓国、シンガポールあるいは香港といったアジアの国々でも同じような傾向だそうだ。 人種別では,前立腺がんの生涯罹患率はアジア人で 13 人に1人、白人で8人に1人、黒人で4人に1人と推定されている(前立腺がん診療ガイドライン2016年版)。日本人がアメリカに移民して20年生活すると、その前立腺がんの罹患率は急激に上がってくる、という話もある。 これから述べる情報は主に、東京大学先端科学技術研究センター 赤座英之著「アジアの特性を生かした前立腺がん化学予防」から得ている。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/seisankenkyu/62/5/62_5_543/_pdf 同文献によると、欧米人は大豆を栽培するもののそれを家畜の餌にしているが、アジアの人々は味噌、豆腐、納豆などの大豆食品にして毎日食べている。大豆食品は「植物性エストロゲン」と云われる「イソフラボン」を含んでいる。 アジアの人々はこのイソフラボンの一種であるダイゼインを、イソフラボンの別の一種である「エクオール(エコールともいう)」に変えることができる腸内細菌(エクオール産生菌)を持っている。しかし欧米人はその腸内細菌を持っていないらしい。 エクオールは、ジヒドロテストステロン(DHT)の活性を弱め、DHTが前立腺がんのアンドロゲン受容体に結合するのを邪魔する働きをする。まさに天然の「抗アンドロゲン剤」といえる。大豆食品はこのような効果があるため、アジア人の前立腺がんの罹患率が低いのもうなずける。 ただ、血中濃度を測ってみると、現代の日本人は、エクオールの出ている人は半分もいないらしい。つまりエクオールを作れるエクオール産生菌を持っていても、それが機能している人は半分もいない。腸内細菌叢のバランスが悪く善玉菌が少ないと、エクオール産生菌のパワーも弱くなるそうだ。若い人のエクオールの出ている割合はもっと下がって、欧米人並み(欧米人では10%ほど)になっているらしい。いまの若い人は、豆腐、納豆、味噌汁などの大豆食品を好まなくなっていて、その結果として腸内細菌叢の多様性が減っているから

がんの再発・再燃を防いでくれる腸内細菌

イメージ
人の免疫細胞の6〜7割は腸に居て、これらの免疫細胞は、腸内の乳酸菌などの善玉菌の助けを借りて、口を通して体内に侵入してくる病原細菌を攻撃し、身体を守ってくれる。 腸に居る免疫細胞が口から体内に侵入してくる病原細菌をやっつけてくれるのは非常にありがたいが、それとともに、 臓器に居る(腸内とは限らない)がん細胞をやっつけてくれる免疫細胞を育てたい のである。どうすれば、がんに対抗できる免疫細胞を育てられるか。「運動すること」、「笑うこと」が大事、と書いてある本やサイトはよく見かけるが、それ以上の情報を探していた。 偶然「腸内細菌ががん免疫療法の効果に影響」という記事を見つけた。 https://www.akiramenai-gan.com/immunotherapy/86852/ 昭和大学医学部の先生が語っていて、その中に「 ある研究では、泌尿器がん手術後に患者さんの便に含まれる腸内細菌を調べ、その後いつ・どの患者さんが再発したかを調査しました。すると、早く再発した患者さんは腸内細菌の種類が少なかったのです。ここでも、腸内細菌の多様性が重要であることが示されました。 」という記述があった。 「 これはすごい! 」と思った。腸内細菌と前立腺がんとは、関係があるもあるも、大ありだ。 それはそれとして、私は 腸内に居る細菌を多様にして育てる 工夫を、これから本格的にしてみようと思う。 (1)プロバイオテックス 腸内細菌を含む食品をプロバイオテックスと云う。主に小腸に居る乳酸菌を対象にしている。ヨーグルト、チーズ、乳酸菌飲料、納豆、味噌、ぬか漬け、キムチなどがある。納豆、味噌汁はよく食べているが、チーズなどの乳製品由来の食品は、ホルモンの関係で控えている(2020年 8月29日の日記 に書いた)。 その足りない分をサプリメントで摂ることにした。最近私の採り始めたプロバイオテックス・サプリがこれ↓ California Gold Nutrition “Lacto Bif” (乳酸菌やビフィズス菌が8種類が入っている) ただし、ずっと同じサプリを摂るのではなく、何ヶ月かおきに別の種類の菌の入っているサプリに変更して、ローテーションするのがよいそうだ。これは栄養チャンネル信長【 「乳酸菌」入門編 】を参考にした。 (2)プレバイオテックス 腸内細菌の餌になる成分を含む食品をプレバイオ

オメガ6不飽和脂肪酸--癌との危険な関係 2020年10月16日

臓器に炎症が起こってそれが長く続くと、炎症で発生した活性酸素がまわりの細胞の遺伝子を傷つけ発がんに至る。たとえば胃の中にピロリ菌が住み着いていると胃炎を起こし、それが胃がんに進行する。肝臓に肝炎ウィルスが居続けると遂には肝臓がんになる。 この炎症を起こす要因の一つとして、オメガ6不飽和脂肪酸の摂りすぎがある。特に現代の日本人は、魚を食べることが少なくなって、その反面、お手軽な弁当、カップ麺などのインスタント食品、フライもの、冷凍食品、マーガリンやショートニングを使った菓子、パン、ケーキ、スナック類(ポテトチップス、フライドポテト、ドーナツ、揚げ煎餅)などを摂りすぎていて、ひと昔まえと比べて、炎症を亢進するオメガ6不飽和脂肪酸の摂取量が圧倒的に増え、炎症を抑えるオメガ3不飽和脂肪酸が減っている。 オメガ6不飽和脂肪酸と前立腺がんとの関係について、データがあるかどうか調べようと国立がん研究センターのコホート研究をあたってみたが、飽和脂肪酸と前立腺がん発生率との関連を調べた結果はあっても、オメガ6不飽和脂肪酸との関係は探せなかった。しかし乳がんについては「魚、n-3及びn-6不飽和脂肪酸摂取量と乳がんとの関連について」という研究 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3686.html があって、「n-6不飽和脂肪酸の摂取量が多いほど、ホルモン依存性(ホルモン受容体陽性)の乳がんリスクが高くなりやすい」という結果が出ていた。前立腺がんもホルモン依存性なのでこれとよく似た結果になると思う。 前立腺がんでは、マウスで実験した結果がみつかった。“Effect of Altering Dietary ω-6/ω-3 Fatty Acid Ratios on Prostate Cancer Membrane Composition, Cyclooxygenase-2, and Prostaglandin E2”(前立腺癌細胞の細胞膜の構成、シクロオキシゲナーゼ-2、プロスタグランジンE2に対する食事中のオメガ6/オメガ3脂肪酸の比の影響) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3410648/ ホルモン感受性の前立腺癌細胞を移植したマウスに、食餌中の脂肪の全てがオメガ6の不飽和脂肪酸の食餌を与えたグ

タンパク質の摂り方--ホエイプロテインなど 2019年10月01日

私の前立腺がんは、GS9で多発性骨転移あり、すぐに去勢抵抗性になるのではないかと内心ビクついていたが、ホルモン療法がよく効くがんだったのか、PSA値は素直に0.008まで低下してくれた。いまのザイティガとリュープリンによるCAB療法をまだまだ続けていかなければならないが、薬を飲むことの他に、自分でできる大事なことは、食事療法と風呂であって、これらもPSA値の低下に一役買ってくれていると信じている。これからもずっと続けて行くつもりである。 今日はタンパク質の摂り方について。 2020年5月17日の日記 に「蛋白質は魚が主体である。肉は全部国産肉を買う。柏の胸肉が一番多い。豚肉、牛肉は脂身の少ないところを週1~2回食べるくらいである。」と書いた。 タンパク質を摂るには、豚肉や牛肉を食べるのが簡単だが、同時に がんが好む動物性脂肪(飽和脂肪酸)の摂取が避けられない 。そこでいままで、豚肉や牛肉の摂取量はなるべく少なくして、主として大豆からの植物性タンパク質を摂り、動物性タンパク質は脂肪の少ない鶏の胸肉から摂っていた。豚肉、牛肉は脂身を落として週1~2回食べるくらいにしていた。 古川健司著「ケトン食ががんを消す」の126~127ページあたりに、植物性タンパク質はアミノ酸バランスの良くないものがあるので、「日常の食事においても、植物性タンパクで不足している一部の必須アミノ酸を得るために、大豆製品などの植物性タンパク質の摂取を第一選択として、動物性タンパクも定期的に摂ったほうがいいのです」と書かれている。 「ケトン食ががんを消す」の126ページにも「タンパク質、なかでも動物性タンパク質には、がんによって抑制がかかった免疫システムを活性化したり、貧血を誘発する低酸素状態を改善する働きがあるからです」と書かれている。 このように免疫システムを活性化でき、貧血も改善できるのであれば、私も積極的に動物性タンパク質を摂ろうと思う。しかし卵一日3~5個というのは、ちょっと・・・ 佐藤のりひろ医師の「がん死亡リスクが50%も減るタンパク質の摂取量とは?最新の研究結果より」 https://www.youtube.com/watch?v=PyV3Jxp4dmY という記事が出た。植物性タンパク質を中心にして一日80gから90gのタンパク質をとると良いと書かれている。結構な量である。 また、吉富