大豆食品+腸内細菌 2020年10月26日
日本人の前立腺がんの罹患率が最近上がっている。国立がん研究センターの調査では前立腺がんの罹患数は胃がんを抜いて1位、女性では乳がんが1位となった(2017年の統計)。これは日本だけでなく、タイ、韓国、シンガポールあるいは香港といったアジアの国々でも同じような傾向だそうだ。
人種別では,前立腺がんの生涯罹患率はアジア人で 13 人に1人、白人で8人に1人、黒人で4人に1人と推定されている(前立腺がん診療ガイドライン2016年版)。日本人がアメリカに移民して20年生活すると、その前立腺がんの罹患率は急激に上がってくる、という話もある。
これから述べる情報は主に、東京大学先端科学技術研究センター 赤座英之著「アジアの特性を生かした前立腺がん化学予防」から得ている。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seisankenkyu/62/5/62_5_543/_pdf
同文献によると、欧米人は大豆を栽培するもののそれを家畜の餌にしているが、アジアの人々は味噌、豆腐、納豆などの大豆食品にして毎日食べている。大豆食品は「植物性エストロゲン」と云われる「イソフラボン」を含んでいる。
アジアの人々はこのイソフラボンの一種であるダイゼインを、イソフラボンの別の一種である「エクオール(エコールともいう)」に変えることができる腸内細菌(エクオール産生菌)を持っている。しかし欧米人はその腸内細菌を持っていないらしい。
エクオールは、ジヒドロテストステロン(DHT)の活性を弱め、DHTが前立腺がんのアンドロゲン受容体に結合するのを邪魔する働きをする。まさに天然の「抗アンドロゲン剤」といえる。大豆食品はこのような効果があるため、アジア人の前立腺がんの罹患率が低いのもうなずける。
ただ、血中濃度を測ってみると、現代の日本人は、エクオールの出ている人は半分もいないらしい。つまりエクオールを作れるエクオール産生菌を持っていても、それが機能している人は半分もいない。腸内細菌叢のバランスが悪く善玉菌が少ないと、エクオール産生菌のパワーも弱くなるそうだ。若い人のエクオールの出ている割合はもっと下がって、欧米人並み(欧米人では10%ほど)になっているらしい。いまの若い人は、豆腐、納豆、味噌汁などの大豆食品を好まなくなっていて、その結果として腸内細菌叢の多様性が減っているからであろう。
すでにいま、日本人の前立腺がんの発生率は、他のがんと比べて第1位である。大豆食品を好まない今の若い世代の人達が前立腺がん罹患年齢に達すると、もっと大変なことになりそうだ。
私も発病前、豆腐はよく食べていたが、納豆、味噌汁はあまり食べていなかった。豆乳もほとんど飲んだことがなかった。
しかし発病後、かつて主食として食べていた米やパンを控えている。主食の代わりをもっぱら豆腐(ぽろぽろ豆腐ご飯)やカリフラワー粒に頼っている。また毎日納豆を食べるし、味噌汁も飲む。豆乳も毎日飲んでいる。また、タンパク質の補給にイソフラボンを含む大豆プロテインを摂っている。
コメント
コメントを投稿