前の日記で「がん細胞は糖質を餌にしている。これはFDG-PET検査でブドウ糖液を注射するとがん細胞のあるところが光ることから明らかである」と書いたが(2019年10月30日)、前立腺がんに限って言えば、 あまり光らない そうである。これは前立腺がんは増殖力が弱くて、ブドウ糖を取り込む量が少ないからだそうである(Cancer Channel: Japan Cancer Forum 2019 中村 和正先生 前立腺がん 転移の早期発見・治療のために放射線でできること https://www.youtube.com/watch?v=UcsYswyMLrU の11分あたり)。 前立腺がんが糖をあまり取り込まないならば、こうして頭がフラフラになるのを我慢してまで糖質制限食を続ける意味はない、かもしれない。 しかし、骨転移した前立腺がん、特に去勢抵抗性になった前立腺がんに限って言えば、糖質の制限は有効であると思う。その理由を説明しよう。 ネットをいろいろ調べてみると、骨に転移し去勢抵抗性になった前立腺がんの画像診断をする場合、骨シンチグラフィだけでなく、FDG-PET診断を実施することは、よく行われているようである(保険適用の有無は不明)。 前立腺診療ガイドライン(2016) の骨転移治療の部、CQ1『前立腺癌骨転移の画像診断にはどの方法(モダリティー)が推奨されるか? 』には「 18F-FDG-PET(PET/CT を含む)に関しては,骨シンチグラフィーと比較して感度,特異度ともに良好であるという報告が散見される。 」という記載がある。 FDG-PET診断の前立腺がんへの有効性を調べた他に論文があるかどうか、探してみると、「18F−FDG PETが転移巣検索に有用であった前立腺がんの2例(平成20年2月2日)」という防衛医大の報告が見つかった。 http://kkse-nm.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20110329105045-F5D00E931FE055FA2AC297447FBD5113AFA1C11D21CE0D7379338E09CBB7EC85.pdf そこには、一般に、前立腺癌細胞の糖代謝はそれほど高くないこと、18F-FDGの尿中排泄が読影の妨げになることなどの理由により、前立腺癌患者における18F-FD...