放射線治療+ゾーフィゴの臨床試験 2022年10月05日

昨日、主治医から電話がかかってきて、説明したいことがあるから、明日、放射線腫瘍科に来るついでに泌尿器科に寄ってくれませんか? と言われた。

たぶん骨転移箇所が増えたのをDWIBSで見落としていた、という知らせだろう? と憂鬱だったがともかく行ってみた。

話を聞くと、骨転移の放射線治療に加えてゾーフィゴの効果を試す比較臨床試験に加わりませんか、というお誘いだった。やれやれ、ホッとした。

ゾーフィゴ(Xofigo; ラジウム223)は、去勢抵抗性で骨転移のある患者さんに適用されるが、適用病期ははっきり決まっていない。私的には、骨転移のたくさんある比較的末期の患者さんが受ける治療というイメージだったが、今回の比較臨床試験は、去勢抵抗性ではあるものの比較的初期の、骨転移数の少ない(つまりオリゴ転移の)患者さんに対して、標的放射線治療に加えてゾーフィゴを併用すれば、どのくらい効果があるかを調べる医師主導の試験とのことだ。

私はいま骨転移数が少なく、ザイティガ、イクスタンジといった抗アンドロゲン剤(ゾーフィゴと併用すべきでない薬)を飲んでいないので、対象になったのだろう。LH−RH製剤(リュープリン、ゴナックスなど)は構わないらしい。

東京医科歯科大学医学部附属病院、がん・感染症センター都立駒込病院、がん研有明病院、埼玉県立がんセンター、大阪国際がんセンター、金沢大学附属病院の6つの医療機関で実施されている。

患者さんをランダムに分けて、一方のグループ(コントロール群)には、標的放射線治療後ランマーク(4週毎6回)を皮下注射する。他方のグループ(ゾーフィゴ群)には標的放射線治療後、ランマークに加えてゾーフィゴ(4週毎6回、静注)を併用する。12週目と24週目に全身MRI検査を受ける。経過観察期間は2年であり、画像上で骨転移増悪を観察する。

「受けます」と、この比較臨床試験を受諾した。

どちらのグループに入るかわからないが、もしゾーフィゴありのグループに入ったなら、来週から始まる5日間の標的放射線治療の終了後、ランマークに加えてゾーフィゴの投与開始となる。ゾーフィゴなしのグループに入ったなら、ランマークのみになる(盲検試験でないから偽薬投与はない)。

比較臨床試験を受けるなど、初めての経験である。どちらのグループに入りたい? ゾーフィゴありのグループに入りたいところだが、骨髄抑制という副作用もある。どちらに入っても許せると思っておこう。

主治医は「かりにゾーフィゴ不使用のグループに入っても、骨転移の経過次第では、(主治医の判断で)ゾーフィゴが使えますから」と言う。この言葉を聞いて、私は遅かれ早かれゾーフィゴの治療を受けること間違いない、と思った。

もらった臨床試験の説明書の一部をここに転記してみる。執筆されたのは東京医科歯科大学医学部附属病院の吉田宗一郎先生である。

臨床研究:「転移が骨に限局するオリゴプログレッシブ去勢抵抗性前立腺癌患者に対する標的放射線療法及びゾーフィゴの併用と標的放射線療法とを比較する多施設無作為非盲検第II相試験」

「1.はじめに ・・・あなたの病気は1-3カ所の骨に限局した去勢抵抗性前立腺癌で、近年、骨転移に対する放射線治療により、約7ヶ月の病勢進行の抑制効果が得られています。しかしながら、病勢が進行した際には、複数の部位に進行が出現することが多く、画像検査では検知できていない微小病変がすでに存在していることが想定されます。・・・そこで、画像検査にて同定されている骨転移に対する放射線治療に加え、画像検査にて検知できていない微小病変に対するゾーフィゴ治療を併用することでより良好な病勢進行の抑制効果が得られることが期待されます。」

この「あなたの病気は」から始まる文章が、気持ち悪いくらい自分の病勢を予言していると思った。

あとでウェブを調べたら、この臨床試験の概要がここに載っていた。

https://ct.ganjoho.jp/category/ttrial/jRCTs031200358



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