地中海食ダイエットは前立腺がんを予防する 2020年11月03日


ヨーロッパ諸国で前立腺がんが特に多いのはスイス、ノルウェー、スェーデンとされている。いずれも酪農が盛んで、肉、乳製品を食べる国である。一方、地中海に面したギリシア、イタリア南部などでは前立腺がんは少ないとされている。それらの国の人々は日常、魚介類をオリーブオイルを使って調理する「地中海食」を食している。

地中海食の図解図(インターネットから取得)。よく使う食材ほど下の段に描かれており、めったに使わない食材ほど上の段に描かれている。


「より完全な地中海食は進行性前立腺癌を予防する」というスペイン・カルロス3世健康研究所からの研究報告がある。

“A more complete Mediterranean diet may protect against aggressive prostate cancer” (The Journal of Urology, 2018)

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-01/e-amc011018.php

豊富な魚、茹でたジャガイモ、全果物、野菜、豆、オリーブオイルを使い、果汁が少なめの地中海型(Mediterranean)の食事をする男性は、穏健型(Prudent)もしくは西洋型(Western)の食事をする男性に比べて、悪性の前立腺がんのリスクが低くなるようだ、というスペインからの研究報告である。

「筆頭研究者のBeatriz Perez-Gomez博士は述べています。『私たちの結果によれば、前立腺の悪性腫瘍の予防を目的とした食事には、魚、マメ科植物、オリーブオイルなどの地中海式食事の重要な要素が含まれています。果物、野菜、全粒穀物の大量摂取で十分とはなりません。』

研究チームは、スペインの7つの地域から集めた733名の前立腺がん患者と1,229名の健常者(平均年齢66歳)を対象としたMCC-スペイン研究のデータを解析しました。

スペイン人の3種類の食事パターン(西洋型(Western)、穏健型(Prudent)、地中海型(Mediterranean))に分類して評価しました。西洋のパターンには、大量の脂肪乳製品、精製穀物、加工肉、カロリー飲料、お菓子、ファーストフード、ソースの消費が含まれます。穏健なパターンには、低脂肪乳製品、全粒穀物、果物、野菜、果汁の消費が含まれます。 最後に、地中海のパターンは、魚、茹でたジャガイモ、果物、野菜、豆類、オリーブオイルの消費量が多く、果汁の消費量が少ないことで構成されています。 食事は、各パターンへの順守の程度に従って等級分けされ、各パターン内の順守の低いものから高いものへと4つの四分位数Q1-Q4に割り当てふられました。

より攻撃的でより広範囲の腫瘍(GS > 6およびステージcT2bからcT4)の場合、高度に地中海型食事を順守する男性にのみ、統計的に有意な保護効果を示しました。他のすべての食事パターンと腫瘍の特徴は、ほとんどまたはまったく相関関係を示さず、統計的有意性を達成しませんでした。


共著者であるAdela Castelló博士はこう述べています。『公衆衛生の観点からの前立腺癌の関連性とその一次予防に関するエビデンスの間には著しい対照があります。他の研究者がこれらの結果を確認した場合、地中海式食事パターンの推進は、心血管疾患などの男性の他の一般的な健康問題のリスクを下げることに加えて、悪性前立腺がんを発症するリスクを減らす効率的な方法かもしれません。食事の推奨事項は、個々の食品に焦点を合わせるのではなく、パターン全体を考慮に入れる必要があります。』

(私の感想)

「西洋のパターンには、大量の脂肪乳製品、精製穀物、加工肉、カロリー飲料、お菓子、ファーストフード、ソースの消費が含まれます。」とあるが、この西洋型のパターンは現代の日本人の摂っている食事パターンそのものである。我が国で前立腺がんの罹患率が胃がんを抜いて1位となったのもうなずける。

スペインの研究だから、地中海食に肩入れするのも無理ないが、それを考慮しても、やはり私には、前立腺がん予防・治療のための食事として、和食、ベジタリアン食、玄米菜食などよりも、魚介類をオリーブオイルで調理する地中海食が最適だと思われる。

ただ、私は糖質制限、乳製品制限をしているので、全粒粉穀物、イモ類、オレンジや葡萄などの甘い果実、チーズやヨーグルトなどは避けるようにしなければならない。食品スーパーで、好物の干し柿やブドウを見つけると立ち止まって触ろうとするが、これは食べてはいけない物であることに気付き、手を引っ込める(辛)。果実といってもアボカド、キウイや苺は大丈夫なようだ。

(参考動画)
「地中海式ダイエット がん患者にいいのか?医師が研究結果を解説」(がん情報チャンネル)

コメント

このブログの人気の投稿

イクスタンジもゾーフィゴも効いていない! 2023年05月19日 

ジェブタナまた延期 2024年02月08日

病院を紹介される 2019年10月11日